2005-01-01から1年間の記事一覧

セキュリティ上の問題ではないと考えることが最大のセキュリティ問題

IT Proに「2005年 セキュリティ分野の重大ニュース」という記事がある。 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20051226/226726/ http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20051226/226726/?P=2 気になるのは、東証のシステム障害も、みずほ証券の誤…

見積り精度向上という矛盾

「カレーなる辛口Javaな転職日記」に@ITの記事の批判があり、その中に見積りに関するものがあった。 この書き方だとカンで見積もる方式よりも、より高い精度で予測できる工学的手法が存在するかのように見える。しかし、現実には未だに「精緻に見積もる工学…

誰が言ったかで判断する理由

我々は実のところ、人の話しを吟味するにあたって「何を言ったか」よりも「誰がそれを言ったか」の方を重視するよう出来ている。 「何を言ったかよりも、誰がそれを言ったかの方を重視する」のでは、話の吟味とは呼べないだろう。このように言った方がより適…

自由貿易には理論的根拠は無い(2)

この一見非の打ち所がないはずの比較優位の原理に、しかし違和感を禁じ得ないのはなぜだろう。 一見非の打ち所がないどころか、穴だらけの論理に見えるのだが……。なぜ、こんな穴だらけの論理が未だに生き残っているのか不思議なくらいである。 自由貿易が比…

トヨタもセブン-イレブンも否定する経済学(4)

13日のエントリへの反論があった。 言い方がわるぅございました。下請けを急がせたり、工場止めたり稼働率上げたり残業させたりする、とでも言い換えましょう。 工場を止める?生産した商品が全て売れるかのように行動するというのが、均衡モデルにおける前提…

ソフトウェア開発を理解していない人々(4)

「ソフトウェア開発はハードウェアにおける設計」であることを理解していない人々が多すぎる。理解せずに、ソフトウェア開発とハードウェアにおける製造とを混同した間違いだらけのやり方を押し付ける人々がいるから、ソフトウェア開発がほとんど進歩しない…

トヨタもセブン-イレブンも否定する経済学(3)

11日のエントリへの反論があった。 ジャストインタイムって需要に応じて供給体制自体を微妙に変えることでしょう? ジャスト・イン・タイムは、「必要なものを必要な時に必要な量だけ」ということ。需要に応じて供給量を増減させることであって、供給体制を…

トヨタもセブン-イレブンも否定する経済学(2)

他の条件が一定というのは、科学的な比較のための当然の前提だから、7月14日のエントリなど、ほとんどのエントリでそのことをあらためてことわってこなかった。それで誤解した人がいたらしい。 (i)供給曲線は価格と供給量との1対1の対応関係なんて意味して…

一人の人間の中に愚かさと賢さは共存する

たしかに言論は自由なのですが、『人類の月面着陸は無かったろう論』みたいな情けない本を大学教授の肩書きで出版するのはよろしくないですな 「宗教にはまる」でも書いたように、理性的と思われていた人が、全く非理性的な面を見せることはよくある。最近読…

惰性で使われるスクリーンセーバー

本来の意味を失って、惰性で行われていることって少なくないのだろう……。 スクリーンセーバーを使用する理由では、驚いたことに、「画面の焼きつきを防止するため」と答えた人が全体の42.0%を占めた。もちろん、それが本来の役割ではあるのだが、液晶ディス…

手戻りは悪なのか?

@ITの「ニュース記事」の「上流をきちんとやらないと手戻りが発生する」という文を読んで、手戻りが生じることが何故悪いのだろうかとふと思った。工場におけるカイゼンや製品の改良も、今までやってきたことを否定してそれを直すという点で、「手戻り」との…

グローバル変数はきわめて有害である

GOTO文が有害だということはよく知られているのに、それよりはるかに有害なグローバル変数の有害さが話題になることが少ないのは何故なんだろう。

聞く耳を持たない人々

「辛口Javaな日記」において、@ITの「ある日、社長は“プロセス改善”と叫んだ」という記事のタイトルが皮肉られていた。 そしてその日から、業績は悪化の一途を辿ることとなった。 プロセス改善をやっているつもりで、プロセス改悪をやっているケースは非常に…

ソフトウェア工学の停滞

「ここ10年くらいソフトウェア工学って本質的に進歩していないのではないかというそこはかとない疑問がある」と書かれているエントリがあるが、ソフトウェア工学って、大きなアイデアは初期の頃に出尽くしているかのように見える。オブジェクト指向にしても…

無断リンク禁止というわがまま(2)

無断リンク禁止については、16日のエントリで紹介したものとは別の流れでも続いていた。 http://private.ceek.jp/archives/001617.html http://pcastle.cocolog-nifty.com/p_castle/2005/11/or_f2fc.html http://blog.goo.ne.jp/simauma_dx/e/f245ffed8e3ae2…

自由貿易には理論的根拠は無い

自由貿易を批判する「自由貿易の何がいけないのか?」というエントリがおこされていた。そもそも、自由貿易が経済的利益をもたらすという考えには理論的根拠は無い。自由貿易が経済的利益をもたらすという考えの根拠としてリカードの比較生産費説が挙げられ…

無断リンク禁止というわがまま

無断リンク禁止が一部で話題になっていたようだ。 http://pcastle.cocolog-nifty.com/p_castle/2005/11/post_fcfe.html http://lsty.seesaa.net/article/9062547.html http://lsty.seesaa.net/article/9102194.html http://yas-toro.at.webry.info/200511/ar…

情報は正しく伝わらない

東証のシステム障害の原因は、富士通の作業指示書に記載漏れがあったためらしい。 http://www.asahi.com/business/update/1107/108.html http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20051107/224141/ 漏れなく伝えることは難しい 記載漏れは、単なるうっかり…

バックドア

日立システムアンドサービスの情報セキュリティブログに「旬のキーワード解説」というのがある。そこで、「バックドア」をいささか狭く説明してしまっている。 クラッカーにより侵入を受けたサーバーに設けられた、不正侵入を行なうための「裏口」のこと。 …

生兵法は怪我のもと

@ITに「5分で絶対に分かるフィッシング詐欺」という記事が載っていた。かなり脇が甘い感じがしたが、特にまずいのは以下の「偽のメールを見破る方法」のところ。 メールのヘッダ情報を確認するのも見分け方の1つです。「From:」欄は、メールソフトの設定をす…

経済学に刻まれた×印

成り立たない供給曲線 右下がりの需要曲線と右上がりの供給曲線との交点で価格と数量とが決まるという(部分)均衡モデルの図は、ほとんどどんな経済学の入門書にも書かれているほど基礎的である。だが、私にはこれが×印に見えてしようがない。経済学に刻まれ…

政府の770兆円の借金=国民の770兆円の資産

世に倦む日日において、「政府と自治体とで770兆円の借金があることが脅迫言説装置となっている」と書かれている。 770兆円の借金に警戒は必要であるが、必要以上に恐れるべきではない。なぜならば、その借金を貸しているのは、日本の国民であり、企業である…

生産性って何ですか?

デルの浜田社長がITmediaのオルタナティブ・ブログで「コストや生産性に対する高い意識」というエントリを書いている。一見もっともらしい内容だが、大きな落とし穴がある。それは生産性とは何かということである。生産性に関する最大の問題は、ほとんどの人…

名前がもたらす同一性

同じものを同じ名前で呼ぶのか サーバ管理者日誌のエントリに以下のようなことが書かれていた。 こうやって考えると、hostnameというのは、結構、抽象的な概念に対して付けられている名前なのかも知れない。 実は、名前自体が抽象的な概念に対して付けられて…

宗教にはまる

先日話題になった、産経新聞のインテリジェントデザインと反進化論の話。この渡辺久義京大名誉教授が統一教会の人だというので、信者と覚しき人のリストをチェックしていたら、なんとその中に一松信先生の名前を発見してしまった。 全ての面で理性的な人など…

逆ピグマリオン効果

期待されるとその期待に応えようとするピグマリオン効果という現象が心理学において知られている。この逆に、低い評価しか与えられないと、その低い評価に相当なことしかしない、逆ピグマリオン効果とでも呼ぶべき現象が起きているように思える。以下のエン…

思い込みを無くせるという思い込み

思い込みは無くせない はぶあきひろさんの「先行指標」というエントリに以下のように書かれている。 このように、物事には先行指標があります。先行指標にこそ敏感にならないといけないのです。 これには異論がないのだが。 そのためには事実に対して客観的…

主流派経済学が想定する均衡モデルが現実の経済の理解にとって有害な理由

主流派経済学が想定する均衡モデルは、現実の経済を理解する上で有害である。均衡モデルは、一種の理想的な経済のモデルであるが、理想的なモデルが必ずしも現実について考える上で役に立つとは限らない。ドラえもんの「どこでもドア」は理想的な交通輸送機…

同一労働という難問

「非正規雇用の人々の給与」というエントリで、「同じ仕事をしている場合、リスクの点でアルバイトなどの非正規雇用の人たちのほうが賃金が高くあるべきだ」という主張がなされている。基本的には賛成なのだが、大きな問題がある。「同じ仕事」という前提が…

OPECに原油の供給責任はあるのか?

今日の日経に「供給責任問われるOPEC」という社説が載っていた。だが、そもそもOPECに原油の供給責任はあるのだろうか? 責任とはそれを果たすための権限無しでは意味を持たない。この場合、原油の供給責任を果たすための権限とは、価格の決定権になる。産油…