2007-01-01から1年間の記事一覧

忍び寄る不況

10月31日に日銀の展望レポートが発表された。願望レポートと批判され、国会でも取り上げられたらしい。 失業率が連続で悪化し、冬のボーナスの前年割れが予想されるなど、景気悪化の兆候が見られる*1。景気に悪影響を与えるものとして、マスメディアではアメ…

鵜の真似をする烏は水に溺れる

「ソフトウエア・ファクトリー」という言葉を聞くと、「鵜の真似をする烏は水に溺れる」とか「猿真似」といった言葉を連想してしまう。ソフトウェア開発が製造業から学べる点は少なくないと思う。だが、単に真似するのはむしろ有害だと、過去の失敗からも言…

需要と供給のバランスというできの悪いジョーク(2)

その経済学のイロハである需要と供給の法則がなぜ実地で働かないかは、中卒でもわかる。 いや、その経済学のイロハである需要と供給の法則自体が正しくないわけで……。「需要と供給のバランスというできの悪いジョーク」で述べたように経済学の需要と供給の議…

生産量に関する誤解

行数はコストの指標 「作業環境を改善せよ さもなくば日本のエンジニアは壊滅する!」という記事。スラッシュドットジャパンでも、「日本のソフトウェア開発者の作業スペースや待遇は劣悪?」として取り上げられており、付け加えることは少ないのだが、一箇…

コミュニケーションがソフトウェア開発の鍵

となると、大規模開発の鍵は「コミュニケーション」ということになる。 規模を問わず、「コミュニケーションがソフトウェア開発の鍵である」と言っても過言ではないと思う。

開発期間を短くするには人数を減らすしかない

ある程度までは、人数を増やすことによって開発期間を短くすることができるが、それ以上に開発期間を短くしようとすれば、人数を減らすしかない。もちろん個人一人当たりの能力はより高いものが要求されるが、「ソフトウェア開発ではコミュニケーションが大…

紙の上の仕様からはソフトウェアをイメージすることは難しい

ソフトウエアの機能が増加するだけならそれほど問題はないでしょう。しかし,ソフトウエア開発においては,仕様変更がほぼ確実に発生します。紙の上でソフトウエアの振る舞いを打ち合わせたときには納得しても,いざプログラムを見ると「やっぱり違う,直し…

トラブルメーカな一匹狼

「トラブルシューターは一匹狼有害な“正論”を盲信するな」という記事を読んでげんなりとした。「トラブルシューターは一匹狼」というのも、「有害な“正論”を盲信するな」というのも否定するつもりはないが、書かれている内容はエゴむきだしの自己防衛の勧め…

IPアドレスオークションに期待できない理由

IPアドレスオークションを否定するつもりはないが、IPアドレスの枯渇に対する対策としてはほとんど期待できない。IPアドレスオークションを採用しても、IPアドレスの枯渇は起きるだろう。それどころか、やり方によっては、IPアドレスの枯渇を促進しかねない…

需要と供給のバランスというできの悪いジョーク

詭弁に聞こえるかも知れないが、「オープンソースがわからない」のは、オープンソースが悪いのではなく、我々が「責任の代価にいくら支払えばいいのか」わかっていないことの証しなのだ。「需要と供給のバランス」で決まるという経済学の決まり文句が冗句に…

IPアドレスは枯渇しつつある

「IPアドレスは枯渇していない」というエントリが批判を浴びている。IPアドレスの配分が大きく偏っているという意見は正しいし、提案しているオークション方式には一理あるが、技術的な認識や知識が大きく誤っているから説得力を欠いている。現実には、「IP…

サマータイム制導入という愚行(5)

「サマータイム、導入の動き再び」や「サマータイム関連2題」を疑問に読んでいて感じるのは、サマータイム制導入を推進しようとしている人々は、はたしてサマータイム制導入のコストがどの程度になるか、考えたことがあるのかということだ。日時はコンピュー…

サマータイム制導入という愚行(4)

サマータイム制を導入しようという動きがまたあるようだ。 http://slashdot.jp/articles/07/06/03/0939245.shtml 以前にも書いたことがあるが、サマータイム制導入は、Y2K以上のコストがかかる確率が高い、国内の企業の協力だけでは導入できない、などの問題…

温暖化による海面上昇に対する批判の疑似科学性

北極や南極の氷が溶けて海面は上がるのか。これがそうはならないのだ。 北極は海の上に氷が浮かんでいる。コップの中に、水が入っていて氷が浮かんでいる。この氷が溶けてもコップの中の水面は上がらない。アルキメデスの法則だ。だから仮に北極の氷が溶けて…

間違った情報ほど広まりやすい

信頼性の低い情報ほど広まりやすい 「役所のPKIの出鱈目ぶりも末期的 佐賀県警察本部の場合」というエントリでセキュリティにおけるインチキ文の蔓延が嘆かれている。残念なことに間違った情報ほど広まりやすい。より正確に言えば、信頼性の低い情報ほど広ま…

プログラマの扱いはアマのスポーツ特待生以下

野球選手をスカウトする時に、その選手のプレイを見ずにすませたりはしないと思う。プログラマの扱いは、アマのスポーツ特待生以下である。ということを「プログラマの面接」というエントリを読んであらためて思った。

無い方がマシな命名規則

命名規則全般が無い方がマシとは言わないが、無い方がマシな命名規則は存在するようだ。 「クラス名をC001などと命名する」のを否定できないような命名規則なら意味が無い。作るだけムダだから無い方がマシだろう。ましてや、「クラス名をC001などと命名する…

マニュアルを読まない人々とマニュアル万能主義者

マニュアルや手順書を整備しておけばいいという主張をする人は少なくないが、一方ではマニュアルがきちんと読まれていないという事実がある。 技術を共有して普遍化しておくこと。しかし難しいよな。機械に備え付けのマニュアルを読まない人たちに、当院NI…

人間にはバクテリアほどの知性もないと仮定する経済学

人間には合理的判断を行うだけの知性がないと仮定している均衡モデル 主流派の経済学が唱える均衡モデルでは、人間にはバクテリアほどの知性もないと仮定している。「合理的経済人」という経済学の用語があり、(主流派の)経済学では、人間の行動は合理的であ…

ニセ工学?

経営に貢献しない情報システムはゴミ同然である。大金を使ってゴミを作った情報システム部門は解散させられても文句は言えない。逆にシステムのできはまあまあだったにもかかわらず,事業部門が使いこなせずにゴミにした場合,その事業部門は懲罰ものだ。ゴ…

経済学が机上の空論と呼ばれる理由

経済学を机上の空論と呼ぶ人は少なくない。そしてそれに対する反論も少なくない。どちらの場合も的を外したものが残念ながら少なくない。 「机上の空論」論者は、経済学(と統計学など関連する一部の数学)的手法に全く基づかずに、自分でよりベターな決定を…

相互依存

「ユーザーの弱体化がIT業界を駄目にした!?」という記事がある。「ITベンダーはこれ以上悪くならない」とか頷けない部分もあるが、「ユーザーの弱体化」と「IT業界の弱体化」との関係に言及している点で「IT業界の弱体化」だけを批判する多くの記事より、…

実は軽視されてきたソフトウェア開発の生産性

和訳された「プログラマの権利宣言」が話題になっている。 http://slashdot.jp/developers/07/04/13/0159204.shtml http://d.hatena.ne.jp/textfile/20070412/rights http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50808441.html 「すべてのプログラマは静かな…

優秀な人材ほど評価されないという逆説

「うちにも『新幹線ガール』のような人材がいたら……」と思ったら、外を向いて人材を探すのではなく、まずは後ろを振り返って社内環境をチェックした方が良さそうです。最高のモノをつくりたい、最高のサービスを提供したいと考えている人物が、気づかないう…

言葉の混乱

しかし「用語辞書」を作るのは、この記事にもあるように結構骨だ。もうちょっと楽にならないだろうか。例えばネット上に優良な用語集なんかがあれば、それを活用できないのかと・・。 ネットでの用語自体が「用語辞書」が乱立しかねないほど、混乱しているの…

大人のお絵かき

JavaBlackさんの「モデリングと設計の違い」で紹介されていた。 こうやって考えると、ソフトウェア「設計」と呼ばれている工程は、実はモデリングであることが大半なんじゃないかな。だってそのままじゃ作れないんだもん。「これだけの情報があれば作れる」…

虐殺魔の論理

軍人の本分がそのようなものであれば、一人のゲリラが紛れ込んだ村というのは、そのゲリラを特定して殲滅しなければ自分たちが危険であるということが論理的に帰結されるだろう。そして、その特定が出来ないとき、村人がゲリラを特定するだけの情報を与えな…

ハイリスク・ローリターン

うちの会社に入ったときにまず教えられたのは、大きなプロジェクトでは優秀なプログラマの影響は限定的であるというものでした。つまりプロジェクトが大きければ大きいほど個々人の力量の影響は限りなく小さくなり、プロジェクトは全て人月で計算するのが当…

ソフトウェア開発の生産性に関してはまともなデータがない

木走日記に「日本のソフトウエア生産性と品質は世界最高水準」というエントリが書かれているが、残念ながら、品質はともかく、日本のソフトウェア開発の生産性が世界最高水準というのは誤解である。そもそも、ソフトウェア開発の生産性については、評価に耐…

死人に口なし

南京虐殺についてちょっとした話題になっている。あまりにもひどすぎる発言があったので取り上げてみる。 http://d.hatena.ne.jp/khideaki/20070318 http://d.hatena.ne.jp/bluefox014/20070320/p1 http://plaza.rakuten.co.jp/kngti/diary/200703190000/ 軍…