ソフトウェア開発は実は装置産業型

  • 「1年間1.2億円」で見積もったプロジェクトがあったとしよう。
  • 下記筋書きのどちらが嬉しい?
    • 開始後一ヶ月で中止に追い込まれ、お客さんからは月割りで1000万円だけしか回収できなかった。ただし、デスマーチにはならなかった。チームは次の仕事に向けて鋭気を維持できた。
    • 1年間開発を続けたが完了せず、要因追加&デスマーチで2ヶ月超過。お客さんからは1.2億円もらったが、超過分の原価で赤字になった。チームの半分以上は病気になった。

ほとんどの受託システム開発業者は、後者を選ぶのではないかな。DDJの記事にあるように、Agileの失敗率は「20%」。2割の確率で予算未達が発生する、と考えるとビビる経営者は多いはず。

予算未達にビビる経営者は多いだろうけど……。

上のほうがどう考えても良いように見えて実は上の選択肢はありえない。

中止したら回収はないのが普通。1000万をお返しした上で損害賠償を払う。一か月分の給与で赤字、さらに損害賠償で-1000万とか。

たが、技術者はデスマほどは疲弊してないので(中止しなくてはいけない時点で現実的には結構疲弊はしてると思う)次につながるのも確か。でも、みんな次の仕事は1年後の予定にしていたから仕事がない。あわてて探すというのは非現実的。と考えると技術者を遊ばせる時間分さらに赤字を垂れ流す。

「技術者を遊ばせる時間分さらに赤字を垂れ流す」ここに、デスマーチになる原因がある。

その社長の話によれば現在の半導体メーカーは、1Gメモリチップ1枚を生産するのに2$前後の原価を掛けているのにもかかわらず1$ぐらいの値でしか需要家に売れない、完全に逆ザヤであり、日本の半導体メーカーの大半は部門赤字を累積しながらラインを動かしているのが現状なのだそうです。

半導体メーカーが逆ザヤでもラインを動かすのは、装置産業で固定費の比率が高いため、ラインを止めてもほとんど節約にならないからである。ラインを動かすための電気代や燃料費がまかなえるならば、赤字でも動かした方がマシということになる。技術者が何もしてなくても給料を払わなければならないから、赤字になるプロジェクトでもやらせる方がマシという判断になってしまう。