超低金利を支える財政赤字

予想に反して続く財政赤字と超低金利

財政赤字と低金利の両立は続けられないと言われ続けて相当経ちます。しかしながら、むしろ、金利は低下する一方です。

そこでタダだったので読んでみたのが、竹中平蔵氏、池田信夫氏、鈴木亘氏、土居丈朗氏による「日本経済「余命3年」」という書籍だ。この余命3年というのは『あと三年で日本経済が絶命するという意味ではなく、いまのように奇妙に安定した状態はあと三年くらいしか続か』ないということだそうだ。財政問題について書かれた書籍ということで、書かれたのは7年前民主党政権時代である。言うまでもなく、完全に狼少年だ。

超低金利の一因は財政赤字

このように超低金利が続く一因は、財政赤字にあります。財政赤字なのに超低金利なのではなく、財政赤字だから超低金利なのです。
財政赤字が金融資産を増やす」と看破されています。

財政赤字の増加は国内総所得(GDI)の増加
                  Y = 消費(C)+税(T)+貯蓄(S)
                  Y = 消費(C)+投資(I)+政府支出(G)+(輸出(EX)-輸入(IM))

上記のGDI、GDE(国内総支出)の式から以下のような手順で、Sに関する式が導き出せます。

  1. GDIの右辺(C+T+S)をGDEの左辺に代入。
  2. 両辺のCを相殺。
  3. 左辺のTを右辺に移項。
              貯蓄(S) = 投資(I)+(政府支出(G)-税(T)) + (輸出(EX)-輸入(IM))

上記の式から、Iを左辺に移項すると、「サルでもわかるISバランス論のおかしさ」でも取り上げたISバランス式になります。
ここのG-Tは、財政赤字です。「サルでもわかるISバランス論のおかしさ」で述べたように、S-IはEX-IMにより決まる、Sは式の中で最後に決まる、とすると、財政赤字の増加は、Sの増加を、GDIの増加をもたらします。
これが、民間金融資産の増加を支え、超低金利を支えています。
もちろん、GDEが大きく増加するほどにGが増加し、財政赤字が増加すれば、インフレとなり、金利は上昇するでしょう。しかしながら、現状の財政赤字は、CやIの減少を埋め合わせているにすぎません。GDEが現状レベルで続く限り、財政赤字と超低金利は続くでしょう。