貨幣は負債ではなく債権では?

私は、MMT(Modern Monetary Theory、以下MMT)については、大まかには賛成の立場です。しかし、一点、どうしても納得がいかないものがあります。それが、「貨幣は負債である」というMMTの定義です。逆に見えます。負債ではなく、反対側の債権であるように見えます。

「貨幣=債権」、厳密には、「貨幣⊆債権」ならば、以下のような点に関しても問題なく説明がつきます。

  • 会計において現金等は資産として扱われる
  • かつて、金本位制等のように貴金属が貨幣として扱われていた

会計において現金等は資産として扱われる

会計においては、現金等は金融資産として扱われます。「債権⊆金融資産」かつ「金融資産⊆資産」ですので、「貨幣⊆債権」ならば、何の矛盾もありません。

かつて、金本位制等のように貴金属が貨幣として扱われていた

かつて、金本位制等のように貴金属が貨幣として扱われていました。貴金属自体は、資産であり、どう考えても負債ではありません。貨幣が負債ならば、金本位制から現在の管理通貨制の間で資産から負債への反転が起きたことになります。そういう反転が生じるような原因は、見当たりません。

貨幣が債権ならば、「貨幣⊆資産」であることは変わりません。特別な原因無く、移行が可能でしょう。