現実経済の市場は、ミクロ経済学の反証に満ちています。ここに挙げているのも、その一つです。ミクロ経済学者に対する皮肉になっています。
経済学の十大原理と呼ばれるものの一つに以下のようなものがあります。
合理的な人々は限界原理に基づいて考える
その対偶は、「限界原理に基づいて考えない人々は合理的な人々ではない」ということになります。対偶の真偽は等しいという数学法則に従えば、上述の経済学の十大原理の一つを認めるということは、この対偶も認めるということになります。
ところで、『同じ商品でも買い手は売り手を選択する』の中で 以下のように書いています。
同じ商品でも買い手が売り手を選択する理由は簡単です。実は、ミクロ経済学で限界原理と呼ばれるもので説明できます。取引に付随する費用を含めた取引全体の費用を考え、その費用の限界費用を考えます。すると、買う数量を増やした時、同じ売り手から買う方が、異なる売り手から買うより、移動等の費用が節約できる分少なくなります。限界費用が少くなる方を選ぶという当然のことをしているだけです。
つまり、ミクロ経済学者は、取引に付随する費用を無視することにより、取引全体の費用の限界費用の違いを無視していることになります。
この点で、『ミクロ経済学者は「合理的な人々」ではない』ということになります。合理的か否かと二分するつもりはありません。しかし、このような例を考えると、ミクロ経済学者の合理性には大きな疑問が付きます。