技術は手段に過ぎない

新幹線がお目見えしてから50年。最新のE7系W7系と比べると見劣りしますが、最初の車両となった0系に、当時の国民は未来の乗り物であることを感じていました。しかし、内実は違いました。0系は「未知の新技術を用いないこと」をコンセプトにして開発されていたのです。

「未知の新技術を用いないこと」というのは、むしろ、自慢すべきことでしょう。

戦後に新幹線計画が持ち上がると、新技術を用いずにこれまで培った技術で車両開発が進められました。そうした背景もあり、「新幹線最初の車両である0系は、驚くような技術は採用されなかった」と0系に厳しい関係者も少なくありません。

技術は手段にすぎません。新技術を用いて失敗したり、計画が大きく遅延したりするより、いわゆる枯れた技術を使って確実な成果をあげる方が重要です。東京オリンピックの直前に開通しましたが、万が一、間に合わないようなことがあれば、新幹線に対する評価は大きく違っていたでしょう。