そもそも市場とは何なのか

市場主義宣言。」という市場経済に肯定的な言明に対して、「反・市場宣言」という市場経済に懐疑的な言明がなされた。どちらも、市場の姿を捉えようとしていない点で共通しているかのように見える。どちらも、自分の心の中にある「市場」に対して賛否を述べているに過ぎないかのように見える。

心の中にある、異なる「市場」に対する意見なのだから、意見が一致するはずがない。まず、市場とは何なのかを明確にする必要がある。少なくとも、自分が考える「市場」がどういうものなのかが明確になっていないと、市場を信じるか信じないかという宗教的な議論になってしまう。

市場といっても、証券取引所のような、論理的、物理的な実体のある取引所と。労働市場のような、概念上だけの市場とでは大きく異なる。こうした区別すらせずに「市場」について議論しようとしても、建設的な議論にはならないだろう。