感情優先の日銀の行動

本当に組織防衛しか考えてない日本銀行」というエントリがあった。だが私に言わせれば、組織防衛を考えていればまだましで、日銀の行動は、利下げをしたくないという近視眼的な感情にばかり基づいているように見える。

日銀の失策は日銀の独立性を脅かす

中央銀行の独立性は広く合意された権利ではない。経済運営を行う上で、中央銀行の独立性が高い方がうまくいくと信じられていたから、中央銀行の独立性が認められているにすぎない。日銀が失策を続けるならば、サブプライム・ローンにおける格付け機関と同様の評価を受けることになるだろう。すなわち、経済に大きな影響を与えるのに自分自身の間違いに対して何の責任も取らない無責任な組織として評価されることになる。実際、日銀の行動は、モラル・ハザードで説明できるように思える。

日銀の利上げを阻害した日銀のインフレ・ターゲット政策

日銀の行動が近視眼的で感情優先であるというのは、長く続いている低金利にもその証拠を見ることができる。もし、日銀が利上げという結果を優先するのであれば、景気が多少改善しようとも利上げをしないと公言し、実際に景気が多少改善しても利上げを我慢すべきだった。ところが日銀は、その全く逆をやった。結果として、日銀は強力にインフレ・ターゲット政策*1を推し進めたことになる。景気が改善すればすぐ金利が上がるという予想が景気の改善を妨げ、結果として、日銀の利上げを阻害した。

*1:デフレ・ターゲット政策と呼んだ方が実態にふさわしいだろう