完全競争市場というモデルを使うための条件

まず経済学そのものが、「完全競争」「参入障壁はない」などといった、いくつものありえない話を前提に理論を構築している

という架空を前提に組み立てている「金融工学」は、遺伝子組み換えと同じくらい危険だから実験室の外で使っちゃいけないと主張する。 でも、多くの工学だって複雑な現実の中で物理式を完全に解けなくて仮定と近似をいっぱいいれて何とかやっている。 工学では自信が無いときは安全係数を大きくとって余裕を持たせる。 余裕無しのギリギリ設計はヤバイ。 ファイナンスやファンドの世界でもしこたま借り入れしたレバレッジの大きな戦略は思惑が外れるとヤバイ。 現実と理論の乖離に気をつけつつほどほとのレバレッジで使えということではないだろうか。 ウォール街が強欲に支配されているのはわかるが,理論が現実を完全に説明できないから私用禁止というのはいくらなんでも無茶ではないか?。

天動説モデルの、プラネタリウムや星座の早見盤が、使いものになるように、完全競争市場というモデルも現実の経済の状態を理解するために使える可能性はある。だが、それは、完全競争市場と現実経済とが、天動説と天体の動きほどかけ離れていることを理解した上での話だろう。プラネタリウムや星座の早見盤を見て、天動説が正しいと思うのと同レベルの経済理解ならば、完全競争市場というモデルはむしろ、何とかに刃物だろう。