完全競争市場とは似ても似つかない現実の市場

ましてウェブのように完全競争に近い世界では、新古典派経済学の教科書に近い結果が短期間で成立し、レントはゼロになってしまう。

ウェブですら完全競争市場とは100万光年も離れている。現実の市場は、完全競争市場とは似ても似つかない。

完全競争市場とは違い、世界は「売れ残り」で満ち溢れている

完全競争市場では、「一企業に対する需要曲線は水平になる」とされる。すなわち、完全競争市場では、個々の売り手に対する需要が無限大と見なせるということになっている。したがって、完全競争市場では、売り出した商品はアッという間に売り切れてしまう。だが、現実の世界では無数の商品が店頭で売られている。これらは、まだ売れていないという点で「売れ残り」に他ならない。完全競争市場ならばこのような商品は事実上ゼロのはずである。

右上がりの供給曲線は存在しない

現実の市場では、個々の売り手に対する需要は無限大ではない。このことは、個々の売り手が右上がりの供給曲線を持たないことに通じる。個々の売り手が右上がりの供給曲線を持たないため、市場全体としても右上がりの供給曲線は存在しない。