金を買えない不換紙幣

物々交換状態からいきなり、不換紙幣ができたらどうなるかという思考実験のエントリがあります。私の結論は最初は金などの実物資産は不換紙幣では買えないというものです。

今度は思考実験として、もし一切のマネーがない状態(物々交換状態)に、政府と不換紙幣だけを扱う中央銀行ができた、とします。 まだマネーはありません。 すると金や米などの実物商品には価値はありますが、マネーはないから物々交換しかできません。 ここでもし、誰かが金やその他の実物商品を持っていて、それを中央銀行が買おうとすればどうなるか。 もし買ったとすれば、これはその実物商品の預かり証です。 いま議論しているのは不換紙幣ですから、紙幣価値の裏付けとしての実物資産を持つことはできません。 「なぜなら、もし持ったとすれば、紙幣の価値がその実物資産に連動するその実物商品に対する兌換紙幣であり、前提の不換紙幣の議論からは外れます。

この時点では不換紙幣で金を買えない、と、私も思います。それは、この時点では不換紙幣の価値を判断することができないからです。不換紙幣に関して保証されているのは額面上の価値だけであり、その額面上の価値がどれだけの実物に相当するか全く不明だからです。売る側からすれば、対価として渡される不換紙幣の価値がわからない以上、売れるわけがありません。
政府の債務と不換紙幣を交換して、初めて不換紙幣の価値を判断する材料となる交換の実績ができることになります。