「デフレって何?」の大間違い

デフレって何?」というエントリはデフレについて間違いだらけです。

デフレは景気を悪化させる

ではどうして安倍首相は「デフレを止めよう」といっているのでしょうか? よくわからないのですが、景気がわるいと人々があまり買い物をしないので、物価は下がります。それを逆に「物価が下がると景気がわるくなる」と思っているのではないでしょうか。

物価が下がると景気は悪くなります。以前のエントリで書いたように、デフレでは企業の利益は大きく減少し、賃金も大きく下がります。

これはかんちがいです。たとえば物価がぜんぶ同時に1割下がると収入は1割へりますが、そのお金で買える物のねだんも1割下がるので、「その収入で何が買えるか」というねうちは変わりません。これは「100円玉」を「1円玉」と名前を変えるような「デノミ」とおなじで、デフレで景気はよくもわるくもなりません。

間違いです。経済活動には時間がかかるということが忘れられています。製品の価格は今の価格でも、その製品に使用した設備や原材料の価格は何ヶ月前、何年前の価格であり、デフレで下がった今の価格ではありません。全ての価格が均等に下がった場合でも、経済活動に時間がかかるため、製品の価格の方が設備や原材料の価格よりデフレの影響を大きく受けます。利益は売り上げと費用の差なので、デフレによるわずかな売り上げの減少でも利益は大きく減少します。売り上げが1%減少すると利益が数十%減少するというようなケースは珍しくありません。赤字となるケースもでてきます。企業の利益が大きく減少するため、企業はそれを埋め合わせようとして、賃金を大きく下げます。

全体で見るとお金はなくならない

こう考えると、なんのためにデフレを止めるのかよくわからないのですが、たぶんこれは今までの自民党景気対策がバラマキだと評判がわるいので、「デフレ脱却」というあたらしい名前にしたのだと思います。どっちにしても中身はおなじなので、政府が10兆円もお金をばらまいたら、景気は一時的にはよくなるでしょう。でもお金がなくなったら、もとにもどってしまいます。よい子はそういうむだづかいはやめましょう。

使ったお金は、持ち手が変わるだけで、なくなりません。政府が使ったお金は、企業や労働者の所得となり、その企業や労働者が使うことができます。その企業や労働者が使えば、今度は、別の企業や労働者の所得となります。このようにお金は循環しており、使ってもなくなりません。