世間の常識、経済学の非常識

実証を無視している経済学者」のひろさんのコメントにもあるように、経済学が現実とはかけ離れた前提のもとに成り立っていることに多くの人々が気づかないのはなぜだろう?それは、経済学が現実とはかけ離れたすぎた前提のもとに成り立っているからだろう。
太陽が東から昇ることは当然のことであり、通常はそのことに言及することはない。それと同様、売れ残りが生じるおそれがあることは、現実の経済では当然のことであり、言及するまでもないことなのである。したがって、何のことわりもなく供給曲線の図を見せられた人は、それが「商品が全て売れる」ことを前提に成り立っているとまでは考えない。通常、人はそこまで疑って考えない。

現実の経済でも、「商品が全て売れる」ことはある。しかし、それは売れ切れで儲け損ねるリスクのもとに一時的に生じるだけであり、例外的な現象である。現実の経済においては、「商品が全て売れる」ことを前提にビジネスを考えれば正気を疑われかねない。正気を疑われかねないような前提のもとで経済学が成り立っているとまでは多くの人々は疑わないだろう。