OSの選択理由

アジアの標準になれるのか Asianux」というエントリがある。結論から言うと、「アジアの標準」になるのはかなり難しいだろう。それは、OSの選択理由の最大のものが、OSの技術的な優劣ではなく、「他の多くの人々がそのOSを使っていること」だからである。

英語が国際語として選択されるのは、英語が優れた言語であるからではなく、他の多くの人々が英語を使っているからである。ドルが国際通貨として選択されるのは、他の多くの人々がドルを使っているからである。経済学で言うのところの「ネットワーク外部性」が、言語や通貨には強く作用するため「他の多くの人々が使っている」ことが重要な選択理由となる。OSにおいては、ネットワーク外部性はさらに強く作用し、「他の多くの人々が使っている」ことが通常最も重要な選択理由となる。

OSを動かすことは手段に過ぎず、そのOS上でアプリケーションソフトを動かすためにOSを使用する。どんなに技術的に優れたOSでも、動かしたいアプリケーションソフトが動かないという理由で選択から外されてしまう。多くの人々が使っているOSは、そのOS上で動くアプリケーションソフトが多く、それだけで有利になる。また、そのOSに関する情報も入手しやすくなり、そういった点でも、多くの人々が使っているOSは有利である。

OSの技術的な優劣がOSの選択理由とはなりにくいため、優れたOSを開発して普及させるという目標は達成することが難しい。