Re: 法に関する過大な期待

19日のエントリに対してけったいな刑法学者さんからトラックバックがあった。

刃物はどんどん切れ味鋭くしてもらってかまわないです。ようは、使い方を間違わなければいいんです。で、変な使い方をして、人に迷惑をかけたり、傷つけたりしたら、それなりの責任をとってもらわないといけないだけです。

「刃物はどんどん切れ味鋭くしてもらってかまわない」のならば、「作成罪」は不要では?「前のエントリーはあくまで立法者の考えによる解釈を示したもの」なのかもしれないが、あのエントリからそれは読み取れなかった。

過大な期待とは、法的な規制には予防効果があって、規制された行為がなくなるのだというものです。私がそのような立場から発言しているのであれば、上記のような評価も遠からずかもしれません。しかし、刑法でなんらかの利益を保護するといっても、所詮犯罪がおこなわれたあとに処罰するだけなのですから、保護されなかったことへの対応しかできません。

法の濫用を警戒しているのだが……。ある程度汎用的なプログラムはほとんど悪用可能だから、プログラムの作成は軒並み「作成罪」の対象となる虞がある。「生類憐みの令」のようなことになる虞がある。汎用的なプログラムは除くとしても、セキュリティ・ホールがあることを示すサンプル・コードとか判断が微妙なプログラムはいくつか考えられる。

セキュリティ・ホールがあることを示すサンプル・コードを作れば「作成罪」に問われる虞があるとしたら、セキュリティ・ホールがあることを合法的に実証することは困難になる。「作成罪」を設けることは、その意図とは逆にセキュリティ・ホールがあるプログラムを蔓延させ、コンピュータ犯罪を助長する虞すらある。