サマータイムの省エネ効果はマユツバ

家庭用照明におけるサマータイムの省エネ効果は過大に計算されている

サマータイム制導入にはコンピュータプログラムに関して多大なコストがかかる」が、サマータイム制を導入して得られる省エネ効果は無視できる程度のものにしかならないようだ。「サマータイムを導入することにより家庭用照明に関して原油換算40.3万klの省エネ効果がある」と試算されている。そこで挙げられている省エネ効果のうち最大のものである。だが、きちんと調べると、この値は明らかにおかしい。
試算の方法として以下のように書かれている。

家庭用照明需要については、平成9年度、電灯の全国需要量(電灯A・B+C+その他電灯)2,324億kWhに占める4〜10月の照明需要量を月平均の照明需要モデルカーブにより時間別に配分。

平成9年度の資料は見つからなかったが、資源エネルギー庁の電力調査統計のページの他の年度の「用途別電灯電力需要実績(一般電気事業者、卸電気事業者、特定電気事業者及び特定規模電気事業者合計)」を見るかぎり、「2,324億kWh」というのは、「電灯線契約」されている、家庭の消費電力量としか読み取れない。すなわち、「2,324億kWh」は、照明だけでなく、テレビやエアコン、冷蔵庫といった全ての電気製品を含めた消費電力量ということである。家庭の消費電力量における照明の割合は、1/6程度なので、省エネ効果も40.3万klの1/6程度しかない計算になる。こんな大きなミスがあると他の省エネ効果の値も疑わしくなる。
家庭用冷房のようにサマータイムでエネルギー消費が増えるものもあるため、「サマータイムを採用するとエネルギー消費は逆に増える」という経済学者の研究結果もある。サマータイムの省エネ効果は誤差の範囲ぐらいしか期待できないようだ。