価格は偶然で決まる

現実の経済においては、「貨幣価値は経営と顧客が決める」のではなく、「双方の関係性から、必然的に一意に決定されてしまう」のでもなく、価格は偶然で決まると言っていい。現実の経済の大部分は、経済学で言うところの完全競争市場とは大きく違う。現実の経済においては、競争的な市場の場合でも、完全競争市場とは大きく違う。

まあ、これはただのファンタジーで本当にやっても儲からないかもしれないけど、新規事業を考えるにあたっても、優良企業を目指すにあたっても、できるだけ完全競争市場を避けるというのは鉄則といっていいほど収益に結びついていると思う。

故意に完全競争市場にしようとしないかぎり、通常は完全競争市場とは大きく違うものとなる。特に完全競争市場を避ける必要は無い。経済学で想定している限界費用逓増が、現実の経済では通常成り立たない。経営分析の基礎に損益分岐点分析があるが、ここで仮定されているのは限界費用一定であり、限界費用逓増ではない。完全競争市場では各供給者は需要が無限であるかのように行動することになっているが、現実の経済でそのようなことをしたら不良在庫の山を抱えて倒産必至である。現実の経済では有限の需要に如何に効率的に追従するかが問題となる。有限の需要に効率的に追従する方法の例として、カンバン方式で知られるトヨタ生産方式がある。