健全な肉体を壊すアマチュアスポーツと弱者に残酷な日本

多くの日本人は、この春、WBCに沸いた。投手の肩を守るため、プロの、メジャーの投手の肩を守るための投球制限があることも知った。

あの知識はどこに消えたのだろう。

高校生の肩は、プロよりも、メジャーの投手よりもタフなのか。なぜメジャーの投手に禁じられていることが、日本の高校生には許されてしまうのか。

たとえ選手生命が断たれるようなことがあっても、明日の試合には出たい。そう考える選手を誰が止められようか。WBCではルールが止めた。日本の高校野球では、監督にすべての責を任せてしまっている。

大局的な立場に立って配慮をし、責任をとる「大人」が、この国には不在なのだ。

高校野球に限った話ではない。

健全な肉体を育むことを建前としているアマチュアスポーツが、肉体を酷使させて壊すことが珍しくなく、そのためのルールもほとんど無いというのは、全く皮肉である。逆ならまだわかるのだが……。

走り回る選挙カーは、「弱者に優しい政治」を訴えている。しかし、日本を代表するスポーツの現状からみると、弱者への気配りが希薄なのは政治家だけでなく、日本人の国民性なのでは、と考えたくもなる。

自己責任の名の下、弱者に負担をかけるのが、日本の流行になってしまっている。