日銀が持っている国債の増加は国民の負担の増加を意味しない

マクロ経済を考える時の典型的な間違い

マクロ経済を考える時におかしやすい間違いは、経済全体を考えずに一部分だけを取り出して考えることだ。以下のエントリなどまさにその典型である。

ところが日銀が持っている国債でも当然、満期がこれば政府が日銀に借りたお金を金利をつけて返さないといけません。

たしかに政府も日銀に金利をつけて返さないといけないはず。だが……。

このお金は未来の税金です。

そうはならない。なぜならば、日銀が受け取ったお金は政府へ戻っていくからだ。

日本銀行の国庫納付金の仕組みは、各事業年度の損益計算上の剰余金の額から準備金および配当金を控除した残額を、当該事業年度終了後2か月以内に国庫に納付することになっています(日本銀行法第53条第5項)。

日銀と政府との間を循環するお金が増えるだけにすぎない。日銀が持っている国債がいくら増えても、それは国民の負担の増加を意味しない。だから、高橋是清は、日銀引き受けによる政府支出の増額で日本経済をデフレから脱出させることができた。