ITコストではなくIT投資と呼ぼう

一方、IT投資の売り上げに占める割合は、日本(1%)、アジア(3%)、北米(4.3%)、欧州(3%)と日本が世界で最も低く、アジアと欧州とは約3倍、米国とは約4倍の開きがあります(日本ユーザー協会)。

単純に計算すると、米国は、売り上げに対して4%のITコストを使い、そのうち63%が新規投資ですから、売り上げ全体に対して2.5%が、新規投資になっています。

一方で、日本は、売り上げに対して、1%のITコストを使い、そのうち、40%が新規投資ですから、売り上げ全体に対しては、0.4%しか使っていないことになります。

つまり、日本のIT新規投資は、米国の6分の1ということになります。これでは、絶対に勝てません。

日本のユーザ企業には、ITはコストだ、という認識が染み付いているのでしょうね。だから、削減しか思い浮かばない。

これは、CIOのみの問題ではなく、多くの経営者の方々にも問題があるのではと思っています。数年前に、ある経営者の方々が集まる研修で、同様の主旨のプレゼンテーションをしたことがあるのですが、ほとんどの方が、「それはわかるけど、我々にとって、ITは単なる道具だし、できることなら使いたくないコストなのだよね」とお答えいただきました。  経営者の方々が、そう考えている限り、この、6倍の差を埋めることは、できないと思います。

生産設備だって、「道具」には違いないのですが……。設備投資に関しても「できることなら使いたくないコスト」である、ゼロが理想であるとか言うのでしょうか……。ムダな投資は有害ですが、不十分な投資も有害です。ITは投資です。