過小評価される消費税増税の悪影響

「消費」税という名称で錯覚するのか、消費税増税の影響を議論する時、消費税増税で最も影響を受けやすい項目が無視されることが多いようです。その結果として、消費税増税の悪影響が過小評価されることになります。

消費税増税で最も影響を受けるのは「消費」ではない

雇用情勢は引き続き堅調に思えるが、消費税率引き上げで不況になったと言う言説は良く見かけるようになったし、内閣府も景気判断を下方修正し、先行きに不透明感はある。しかし、実際にどのように不景気なのかが曖昧な気がするので、SNSでの言い争いに備えて関係ありそうなデータを整理してみた。景気の先行きに不安はあるのだが、とりあえず消費税率引き上げの影響は限定的なように思える。

消費税増税で最も悪影響を受けたと思われるものを除外すれば、「影響は限定的」にも見えるでしょうね。

今回の消費税増税で最も悪影響を受けたと思われるのは、消費ではなく、住宅投資です。

このほか、民間最終消費も1次速報の0.1%ポイント下方改定となり、マイナス5.1%に、民間住宅投資も0.1%ポイント下方改定され、マイナス10.4%となった。

1997年の増税の際も、直接的に最も悪影響を受けたと思われるのは、住宅投資でした。

民間住宅投資の変動を国民経済計算でみると、96年度には(前年度比13.3%増と)駆け込み需要があったと考えられるが、97年度は前年度比18.9%減、98年度はさらに前年度比10.6%減と駆け込み需要の増加率を大きく上回る率で縮小している。駆け込み需要前と増税後を比較すると、需要水準は年間で 4 兆円の規模で縮小している。キャシン・宇南山論文の0.3兆円とは巨額の差がある。

所得が実質的に減少すると、その影響は、購入の引き延ばしができる住宅や耐久消費財に集中してあらわれます。

所得が伸びない中、増税可処分所得が減ると、生活必需消費が優先され、住宅や自動車などの高額耐久消費財に消費のしわ寄せが集中的に生じ、これらの消費額(投資額)が大きく減少します。