原油価格がまだまだ下がりそうな理由

原油価格はまだまだ下がりそうです。

元日銀審議委員で安倍晋三首相の経済ブレーンでもある中原伸之氏は6日、ロイターの取材に応じ、1バレル100ドル台にあった過去数年の原油価格は歴史的に異常な高値で、当面下落が続くと指摘。この先に30ドル台、場合によって20ドル台まで下落しても全く不自然ではないと述べた。

ですが、その理由は。

一方、最近の原油市況は中国経済の成長ペースに連動しており、今後は中国の成長率が5%台などへ減速するなかで、原油価格が本格反転する材料はないとの見通しを示した。

このような需要面より供給面にあります。

むしろ世界の産油国原油価格の下落で予算未達になる分、生産を加速させることすら考えられます。これは古典的な「囚人のジレンマ」です。

原油に関しては、一般に信じられている右上がりの供給曲線とは逆に価格低下が供給を増やすように作用するという面があります。それは、原油の生産が本質的には資産の切り売りであり、産油量を増やして産油可能年数を減らすか、産油量を減らして産油可能年数を増やすかのトレードオフを石油会社や産油国は迫られているからです。そのため、原油価格が上がれば産油量を減らして産油可能年数を増やし、原油価格が下がれば産油量を増やして産油可能年数を減らすという判断になりがちです。以前原油価格の高止まりについて書いたことがありますが、ロジック的には全く同一です。今度はそれが原油価格の下落となって現れただけです。

原油価格が高止まりしている。個人的な見解を述べるなら、その主な理由は、原油の価格が高くなると産油量が減少する傾向があるからということになる。価格の上昇が産油量の減少を引き起こし、産油量の減少が需給の逼迫を引き起こし、需給の逼迫が価格の上昇を引き起こす。というループを構成するからということになる。

なぜ、原油価格が高くなると産油量が減少するのか。それは、原油の生産が本質的には資産の切り売りに他ならないからである。油田における原油の埋蔵量は有限であり、「油田の産油可能年数 = 油田の埋蔵量 ÷ 油田の年間産油量」とおけるから、年間産油量を増やして産油可能年数を減らすか、年間産油量を減らして産油可能年数を増やすかのトレードオフを石油会社や産油国は迫られる。原油価格の上昇は、年間産油量を減らしながら年間の売り上げを増やすことを可能にするから、年間産油量を減らして産油可能年数を増やす方向に進みやすい。