ソフト開発の価格

ITProの「不透明なソフト開発の価格,解決への第一歩は“相場”を示すこと」という記事に対するエントリが二つほどあがっている。

http://blog.livedoor.jp/hope_imamura/archives/11877029.html
http://blog.livedoor.jp/mighty_boy/archives/11907406.html

正直言って、記事を含め、掘り下げ方が浅いと感じる。ソフト開発の価格が適切に決められない本質的な原因は、ソフト開発が一品生産であり、同じソフトを開発することが原則として無いからである。
相場」というのは、同じ(と見なせる)ものが多量にあり、比較できるからこそ成り立つ。ソフト開発の場合、同じものを開発することはないため比較する適切な対象が存在しない。同じビルを建てることはまずないが、10階建てのビルなら2階から9階までは通常ほぼ同じ構造である。ソフトの場合は、少なくともまともなソフトならそのようなことすらない。同じものをつくらないという点で、ソフト開発は、絵を描いたり、小説を書いたりすることに近い。

ソフト開発の価格の問題を解決する方法として、雑誌原稿料のような方式をとるべきだと思う。原稿料原稿用紙換算で1枚辺りいくらというように決まるらしい。言わばコストベースで価格が決まる。手抜きをして水ぶくれした内容の乏しい原稿を書くことは可能だが、編集者や読者の評価が低ければ、連載を打ち切られたり、次の掲載のチャンスを失うことになる。コストベースで価格が決まる場合に発生しやすい手抜きなどの問題をこのようにして回避している。
ソフト開発をスパイラル型イテレーション型と呼ばれる方式にして、進捗が思わしくなかったり、開発しているソフトが役に立たないと思われたりした時、すなわち、支払っているコストに見合うだけの開発となっていないと判断した時は、開発を途中で打ち切りやすくする。それが、ソフト開発の価格に妥当性を持たせることになると思う。
なお、パッケージソフトの開発の場合は、書籍CDなどと同様の印税方式というのもありだろう。