経済学は物理法則を無視している

経済学、特にミクロ経済学における均衡モデルに対する批判を以下のエントリのコメントで述べた。以下の批判を含め、これまでの批判を整理し直してみよう。

均衡モデルの本質的な問題は、物理法則を無視していることにある。物理的な制約を考慮しない均衡モデルにおいては合理的な行動であっても、物理的な制約下にある現実の経済においては合理的な行動とはならない。

原材料の増減を無視している部分均衡モデル

商品の供給量が増えるには、その商品の原材料の供給量が増える必要がある。部分均衡モデルの供給曲線は、商品の価格と数量以外の条件は、一定という前提の下に描かれる。だが、その商品の原材料の供給量が商品の供給量に見合って増えないと、商品の供給量を増やすことは物理的に不可能である。しかも、それは、原材料の価格の上昇無しでなければならない。原材料の価格が上昇しては、コスト条件が全く変わってしまい、条件が一定という前提が全く成り立たなくなってしまう。すなわち、商品の原材料の供給量が価格と無関係に変化するという前提の下でのみ、右上がりの供給曲線は成り立つ。商品の原材料の供給量が価格と無関係に変化するということは、商品の原材料に関しては右上がりの供給曲線は成り立たないということになる。

商品の原材料に関して右上がりの供給曲線は成り立たないという前提の下でのみ、商品の右上がりの供給曲線は成り立つということになる。右上がりの供給曲線は成り立たないという前提の下でのみ、右上がりの供給曲線は成り立つということになってしまう。

時間を無視している一般均衡モデル

一般均衡モデルならば、原材料の増減を扱うことができるかのように思える。だが、時間を無視している一般均衡モデルでは、商品や原材料を運ぶために時間がかかることをあらわすことができない。船で何十日もかけて原材料が運ばれてくることをあらわすことができない。数量の増加には時間がかかることをあらわすことができない。