不況が存在しないことを前提にしている経済学が不況の際に役立つはずがない

昨日の「需要と供給は価格では完全には調整されない 」は、若干、論点がずれていたようだ。「ミクロ経済学では、需要と供給が価格で調整されて一致すると教わる」というのは、供給曲線と需要曲線の交点が価格と数量が定まる機構モデルを想定しているのだろうが、一般に、供給曲線は供給者にとって需要が供給以上であると考えられる場合にしか成り立たない*1。売れ残ることは考えられていない。ましてや、売れ残りの山ができる不況など、実は均衡モデルには、想定されていない。不況が存在しないことは、均衡モデルの結論なのではなく、前提なのである。不況が存在しないことを前提としている経済学が、不況に無力であっても何の不思議もない。

*1:供給量一定の垂直な供給曲線を除く