市場原理主義の非科学性

市場・原理主義

市場原理・主義。

ぎなた読み的に区切る場所を変えることで、ほとんど正反対に近いくらいに意味が変わってくるのです。

いや、五十歩百歩というか、大差ないものだと思う。少なくとも、「世の中を完全市場に近づける」などという、物理法則に矛盾する目標をたてることが、「市場原理・主義」なのであれば、それは、「市場・原理主義」と大差ない非科学的妄想にすぎない。

もちろんモデルなので、そのものが現実に存在するわけではないのですが、現実をこういう状態に近づけることで「市場原理」が作動するよ、という話なわけです。

現実経済を完全競争市場に近づけようとするのは、前提条件が矛盾してしまうので、「ピタゴラスの定理を非ユークリッド幾何学で使おうとするようなもの」である。

完全(競争)市場における合理的行動は、現実経済においては非合理行動

距離による差異が生じる、取引に時間がかかるなど、物理的な制約により、現実経済においては、「均一性」などの条件が成り立たない。さらには、現実経済における市場参加者は、「均一性」などの条件が成り立たないことを無意識的に認識しており、完全競争市場における市場参加者とは、大きく異なる行動をとる。例えば、100m離れたコンビニで売っている商品も100km離れたコンビニで売っている商品も、完全競争市場では物理的な制約がないため区別しないが、現実経済では誰でも区別する。物理的な制約を受けにくい金融などは、比較的、完全競争市場的であるが、「金融の最先端では、急激にローカル化が進んでいる」ほどであり、ましてや、物理的な距離の影響を受ける通常の商品の市場は、
完全競争市場とは似ても似つかない。