急激にローカル化する金融の最先端

経済、特に金融においては、世界中がグローバルに結びついている。だが、一方で金融の最先端では、急激にローカル化が進んでいる。東証(東京証券取引所)は、証券会社の受発注システムの一部を自社のデータセンターなどで預かり、取引所の売買システムに直接接続する「コロケーションサービス」を提供すると発表した。ニューヨーク証券取引所やナスダック証券取引所なども既に提供している。

株式会社東京証券取引所は、投資者及び取引参加者のより一層の利便性の向上を図る観点から、コロケーションサービスを提供することを、本日開催の取締役会にて決定いたしました。

コロケーションサービスは米国のニューヨーク証券取引所やナスダック証券取引所などがすでに提供している。近年急速に拡大しているアルゴリズム取引では、証券会社の受発注システムと取引所のシステムが相場・売買データをやり取りする際に発生するロスをできるだけ減らすことが重要になる。東証はコロケーションサービスの提供で、取引を高速化したい機関投資家にアピールする考えだ。

1/1000秒を争うアルゴリズム取引

アルゴリズム取引では、大口取引を細分化して大量の注文処理を行い、市場に極端な影響を与えることなく、予測値に近い取引を実施する手法が採られる場合が多い。このため、アルゴリズム取引が増えると、市況分析はよりいっそう高速かつ大量にデータを処理する必要に迫られる。サイベース マーケティング本部 本部長 冨樫明氏によると、「欧米の市場ではすでに1/1000秒単位での市場分析と注文施行が要求されている」という。

1/1000秒を争うアルゴリズム取引では、距離が離れていることによる遅延が深刻な問題となる。

もはや、光も遅すぎる

光の速さは、毎秒約30万kmであり、1秒間に地球を7周半する速さと言われる。逆に言えば、地球を1周するのに1/10秒以上かかるということである。1/1000秒を争うアルゴリズム取引では、コンピュータを地球の裏側に置いたりするのは、通信の遅延の点から論外ということになる。