成長が先、生産性は後

経済学の常識は、個々の企業が生産性を上げ、その結果として経済が成長するというものだろう。それは分かっていながら、筆者は、成長の結果として、生産性が上がっているのではないかという、長年の疑問を拭えないでいる。

成長が先です。なぜならば、経済においては需要不足の状態が一般的だからです。以前、こう書いています。

需要不足が一般的である証拠は、様々な店の店頭で売られている商品の多さである。店頭で売られている商品は、店頭在庫とも呼ばれるが、これはある種の売れ残りである。期待した期間内では売れなかったという意味の売れ残りではないが、市場に供給したにもかかわらず売れていないという「売れ残り」には違いない。これは、現実の市場においては、個々の売り手が需要の制限に直面していることを示している。

需要不足の状態で生産性を高めようとすると、生産性の分子である産出量は増やせないので、生産性の分母である投入量を減らすことになりがちです。投入量を減らすということは、その投入物を生産する側から見ると生産量の減少です。全体にわたって生産量が減少すれば、成長を大きく抑制することになります。