リカード論理ではクジラが空を飛ぶ

自由貿易には理論的根拠はない」で述べたリカードの比較生産費説の論理的な間違いについてわからない人が多いようなので、説明を補足します。比較生産費説の論理が正しいとするとクジラは空を飛ぶことができることになってしまいます。

比較生産費説は、同じ国に住んでいる人々の同じ産業における生産性を同じだとしている

比較生産費説は、同じ国に住んでいる人々の同じ産業における生産性を同じだとしています。以下のような論理です。

  1. X国の以前からA産業に従事していた人々はX国に住んでいる
  2. X国の以前はB産業に従事していた人々はX国に住んでいる
  3. X国の以前からA産業に従事していた人々はA産業における生産性がaである
  4. ゆえに、X国の以前はB産業に従事していた人々はA産業における生産性がaである

比較生産費説と同じ論理で、クジラが空を飛ぶことになる

「X国の以前からA産業に従事していた人々」を「コウモリ」に、「X国の以前はB産業に従事していた人々」を「クジラ」に、「X国に住んでいる」を「哺乳類である」に、「A産業における生産性がaである」を「空を飛ぶことができる」に置き換えると以下のようになります。

  1. コウモリは哺乳類である
  2. クジラは哺乳類である
  3. コウモリは空を飛ぶことができる
  4. ゆえに、クジラは空を飛ぶことができる

同じ国だから同じ生産性というのは正しい論理ではない

同じ国だから同じ生産性を発揮できるというのは正しい論理ではないのです。同じ生産性であると主張したいなら、別に根拠を示す必要があります。