経済学は非合理的・非論理的

ここまでアベノミクスが上手くいっていながら、そのまま保とうとはせず、一気の消費増税という、すべての成果をドブに捨てるようなことをしてしまう。それは、なぜだろうか。そこには、需要を抜いても経済には決定的な悪影響はないという極めて強固な思想がある。普通の人には奇妙に聞こえるだろうが、これは「合理性」に基づくものなのだ。

問題は、その「合理性」が経済学のモデルに対する合理性であり、現実経済に対する合理性ではないというところにあります。たとえば、完全競争市場では、取引に関して商品(サービス含む)の代価以外のコスト(時間等を含む)は、数学的にゼロです。現実には光の速ささえ有限であり、時間がかかることからすると、完全競争市場は物理的な制約を無視した現実とは相容れないモデルです。そのため、完全競争市場は、「同じ商品を100個買うのに、100軒の店から買う」とか、「店頭には商品が無い」といった、現実の経済からすると非合理きわまりない市場となっています。