自由貿易 の検索結果:

比較生産費説の錯覚

「自由貿易には理論的根拠はない」と「リカード論理ではクジラが空を飛ぶ」をまとめて、比較生産費説批判について整理し直します。 比較優位産業に特化することにより生産量が減る? イギリス ポルトガル 生産量合計 布(生産量) 1単位 1単位 2単位 布(労働者数) 100人 90人 布(生産性) 0.01単位/人 0.0111単位/人 ワイン(生産量) 1単位 1単位 2単位 ワイン(労働者数) 120人 80人 ワイン(生産性) 0.0083単位/人 0.0125単位/人 労働者…

リカード論理ではクジラが空を飛ぶ

「自由貿易には理論的根拠はない」で述べたリカードの比較生産費説の論理的な間違いについてわからない人が多いようなので、説明を補足します。比較生産費説の論理が正しいとするとクジラは空を飛ぶことができることになってしまいます。 比較生産費説は、同じ国に住んでいる人々の同じ産業における生産性を同じだとしている 比較生産費説は、同じ国に住んでいる人々の同じ産業における生産性を同じだとしています。以下のような論理です。 X国の以前からA産業に従事していた人々はX国に住んでいる X国の以前…

自由貿易には理論的根拠はない

自由貿易推進の理論的根拠としているリカードの比較生産費説には論理的な間違いがある 先日のエントリでふれたように、多くの経済学者が自由貿易推進の理論的根拠としているリカードの比較生産費説には、論理的な間違いがあります。リカードの比較生産費説は国内における生産性の差を否定しており、経済学の教授とコンビニのアルバイトが同じ時給であるような社会を前提としています。もちろん現実はそうではありません。 比較優位産業に特化することで生産量が増えるという比較生産費説の主張 リカードの比較生産…

自由貿易には理論的根拠は無い(2)

…議なくらいである。 自由貿易が比較優位に基づく国際的分業につながるかどうかは不明 まず、「自由貿易には理論的根拠は無い」でも述べているように、「自由貿易が比較優位に基づく国際的分業につながるかどうかは不明」という問題がある。比較優位に基づく国際的分業が相互に利益をもたらすとしても、自由貿易がそれをもたらすかどうかは別の問題である。自由貿易が比較優位に基づく国際的分業をもたらすメカニズムを論証する必要がある。 国内における分業を否定したリカードのモデル 自由貿易が比較優位に基づ…

自由貿易には理論的根拠は無い

自由貿易を批判する「自由貿易の何がいけないのか?」というエントリがおこされていた。そもそも、自由貿易が経済的利益をもたらすという考えには理論的根拠は無い。自由貿易が経済的利益をもたらすという考えの根拠としてリカードの比較生産費説が挙げられることが普通だが、比較生産費説は自由貿易の根拠とはなりえない。なぜならば、比較生産費説は比較優位に基づく国際的分業が経済的利益をもたらすというものだが、自由貿易が比較優位に基づく国際的分業につながるかどうかは不明だからである。徹底した管理貿易…

経済学という宗教?

…の供給曲線は、生産量を増やすに従い単位あたりの利潤が低下するという、収穫逓減を根拠としている。だが、収穫逓減はそれを裏付ける事実に乏しいどころか、それを否定する事実がいくらでもある。 自由貿易を擁護する根拠として挙げられるのが、リカードの比較優位である。比較優位による分業が両者の利益になるというものである。だが、自由貿易が比較優位による分業をもたらすか否かは明確ではない。仮に自由貿易が比較優位による分業をもたらすとしても、それが、何百年、何千年もかかるものであれば意味はない。