需要と供給は価格では完全には調整されない

実は、この図には価格は変化しないという前提がある。これは奇妙な話だ。ミクロ経済学では、需要と供給が価格で調整されて一致すると教わるのに、マクロになるとどんなに大きな需給ギャップがあっても価格が動かないと仮定されているのだ。ケインズは、これを短期の問題として正当化し、彼の結論のほとんどはこの仮定から導かれる。価格が伸縮的だとすると、ミクロとマクロは同一になる。

「需要と供給が価格で調整されて一致する」というミクロ経済学の考えが間違っているんだが……。そもそも、合理的なはずの人間が物理的制約のない均衡モデルにおけるのと同様の行動をバカの一つ覚えにとる、というのが矛盾している。