比較生産費説の錯覚(2)

比較生産費説の錯覚」を要約するなら、リカードの比較生産費説の欠陥は、本来、別々のものとして扱わなければならない、ある産業における以下の三つが区別されていないことにあるということです。

  • その産業の従事者の生産性
  • その産業に従事していない人々が従事した場合の生産性
  • 両者を一緒にした生産性

それぞれ、別の集団ですから、生産性は異なるものとして扱う必要があります。生産性を同じとして扱えるのは、実際に計測して同じだと証明した後になります。おそらく、コスト的に網羅的な実測は不可能でしょうし、実測した場合に同じ生産性となることはまれでしょう。