所得と支出は同じもの

現在の欧州危機の事実上の震源地となっているドイツ(ギリシャではなく)では、憲法連邦政府と州政府の双方に均衡予算の維持を求める債務ブレーキ制度を組み込んだことで、ギリシャ救済に対する国民の支持は全く得られず、ユーロ発行権を持つECBもドイツの意向は無視できない可能性がありますので、経済的にはトヨタを擁する愛知県より経済規模が小さいギリシャの救済が最善手と解っている欧州政治家やECB・IMFギリシャ救済を見送り、1990年代以降何度も繰り返された緊縮ポピュリズムへの政治迎合タイプの流動性危機が今回も繰り返される可能性は少なからずあるのではないでしょうか。

マクロ的に見れば所得と支出は同じものです。こうした緊縮ポピュリズムのような考えに陥るのは、それが理解されていないからでしょう。もう少し分かりやすく言うなら、所得と支出の違いは同じものをどちら側から呼んだ名称かの違いです。お金を受け取る側から呼んだ名称が所得で、支払う側から呼んだ名称が支出です。

支出を減らせと言うのは、所得を減らせと言うことです。所得が減れば、返済はますます遅延します。緊縮ポピュリズムは、お互いの苦しみを長引かさせるだけです。