実は軽視されてきたソフトウェア開発の生産性

和訳された「プログラマの権利宣言」が話題になっている。

「すべてのプログラマは静かなる仕事環境を持つべきである」に対して、「電話を取り次がなくて良い権利が欲しい」というコメントがあり、さらにそれを受けて、「デマルコの『ピープルウェア』を上司に読ませましょう!電話の弊害がそこに書いてありますね」と書かれている。
『ピープルウェア』は、初版の和訳すら20年ほど前に出ている、もはや古典と言っていい本である。ソフトウェア開発の生産性について信頼できる定量的データを取り上げている数少ない本でもある。精神集中を妨げる電話の弊害は、章を立てて論じられている。だが、和訳が出た頃から電話に関して大きく改善された形跡は乏しい。ソフトウェア開発の生産性が実際は軽視されてきた証拠の一つと言えるだろう。電話を含めた騒音を低減する、一人当たりの充分なフロアスペースの確保なども『ピープルウェア』では提言している。これも、大きく改善された形跡はない。口先だけは、ソフトウェア開発の生産性向上と唱えながら、実態はその程度のものである。
プログラマーの義務宣言」などとわざわざ言うまでもなく、義務ばかりで権利が乏しいのが、プログラマの実態である。