ニセ工学?

経営に貢献しない情報システムはゴミ同然である。大金を使ってゴミを作った情報システム部門は解散させられても文句は言えない。逆にシステムのできはまあまあだったにもかかわらず,事業部門が使いこなせずにゴミにした場合,その事業部門は懲罰ものだ。ゴミの発生を黙認した,あるいは気づかなかった経営者は間違いなく株主訴訟の対象になる。ソリューション(問題解決策)と偽って顧客にゴミを売り込んだコンピュータ・メーカーやソフト・ベンダー,システム・インテグレータは詐欺の疑いがある。

ゴミでも宝でも行数や機能的な量が同じなら「生産量」は同じとする、ソフトウェア工学の責任は?
最近、「水伝」などをニセ科学と呼んでいるが、ソフトウェア工学は、ニセ工学と呼ばれても仕方ないのでは?少なくとも、生産性に関しては、ニセ工学と呼ばれても仕方ないと思う。「ソフトウェア開発を理解していない人々(2)」でも述べたように、行数や機能的な量を「生産量」とすることは、間違っているだけでなく、論理的な矛盾がある。
何にせよ限界はあるのだから、ソフトウェア工学が生産性をきちんと扱えないことは罪ではない。だが、生産性と呼ぶべきでないものを生産性として扱ってきたことは、ソフトウェア工学の罪だろう。