経済学が机上の空論と呼ばれる理由

経済学を机上の空論と呼ぶ人は少なくない。そしてそれに対する反論も少なくない。どちらの場合も的を外したものが残念ながら少なくない。

「机上の空論」論者は、経済学(と統計学など関連する一部の数学)的手法に全く基づかずに、自分でよりベターな決定を下せるだろうか。つまり、線形計画法を用いたり損益分岐点を出したりするのは全部ダメなのだ。そして、1回や2回ではなく長期的視点で継続的に見たときに、うまくいくかどうかは、かなり怪しい。

こういうことを言うから、経済学は机上の空論と呼ばれる。損益分岐点分析と主流派経済学が唱える均衡モデルとは相容れない。そういうことに気づかない。気づいても無視する。だから、経済学は机上の空論と呼ばれる。

限界費用一定を前提とする損益分岐点分析と限界費用逓増を前提とする均衡モデル

ITPro損益分岐点分析の基礎的な記事が書かれていたが、その「損益分岐点分析(1)」説明されている図では、生産量(製造販売数)と総費用との関係が直線であらわされている。生産量の増加に伴って増加する費用の割合は一定であるという前提の図になっている。すなわち、経済学で言う限界費用が一定の図である。それに対して、主流派経済学が唱える均衡モデルでは、限界費用は逓増することになっている。損益分岐点分析において、「生産量の増加に伴って増加する費用の割合は一定である」ということを前提としていることは、「損益分岐点分析(2)」や@ITの「固定費と変動費の見積もりをせずに損益分岐点分析を行うには?」という記事を読むとよくわかる。これらでは、生産量と総費用との関係が直線であらわせることを前提に、最小自乗法を使用して損益分岐点分析を行うやり方が紹介されている。