「合理的経済人=バカ」という矛盾

問題は、均衡モデルが想定している条件と現実の経済は違うから、「合理的な」人間は、均衡モデルでは非合理的で、現実経済においては合理的な行動をとるというところにある。

均衡モデルにおいては合理的な行動が、現実経済においても合理的な行動であるとは限らない。均衡モデルにおいても現実経済においても同じように行動するのは、バカの一つ覚えである。すなわち、均衡モデルにおいても現実経済においても同じように行動すると仮定して、均衡モデルを現実経済にあてはめようとするのは、人間を「バカ」と仮定していることに他ならない。
均衡モデルにおいては「合理的経済人」と仮定するのに、均衡モデルを現実経済にあてはめようとする際は、「バカ」と仮定する。「合理的な愚か者」と批判したのはアマルティア・センであるが、「合理的経済人=バカ」と主流派の経済学者はそもそも仮定してしまっている。本人たちは気づいていないが。