四重の等価

マクロ経済には、私が、「四重の等価」と呼んでいるものがあります。税等を除外して考えると、ある取引において、「支払い(支払った金額)」と「受け取り(受け取った金額)」、「供給した商品」、「供給された商品」は、等価であるというものです。なお、商品にはサービスも含みます。「支払い」と「受け取り」は同額です。「供給した商品」と「供給された商品」は同じものです。経済学や会計では、「支払い」と「供給した商品」は等価と見なします。「受け取り」と「供給された商品」も等価です。従って、取引においては、四つの値が等しくなります。私は、これを「四重の等価」と呼んでいます。

「四重の等価」という言葉は覚える必要はありません。しかし、一つの取引に、等しい四つの値があることは、覚えておく必要があります。なぜなら、これらのうちの一つだけを変更することはできないからです。しかし、一つだけを変更することができるかのように錯覚した議論する人々は、少なくありません。

例えば、節約して「支払い」を減らすことは、誰かの「受け取り」を減らすことです。従って、全体としては、豊かにはなりません。それどころか、皆が「支払い」を減らそうとすると、お互いに「受け取り」を減らし合うことになります。むしろ、全体としては、貧しくなります。脚の引っ張り合いになります。