同じ商品を区別しないというミクロ経済学の反現実的仮定

同じ商品を区別しないという、部分均衡モデルや一般均衡モデル等のミクロ経済学の仮定は、反現実的です。ほとんどバカげていると言っていいほどです。なぜなら、私達は一般的な商品を買う時、同じ商品であっても区別しているからです。あまりにも無意識的に区別しているため、区別していないと錯覚しているかもしれませんが、区別していることに疑いの余地はありません。

ある一般的な商品を複数買うことを考えてみましょう。同じ商品が複数であっても、売り切れとかでない限り同じ売り手(供給者)から買うはずです。つまり、売り手の異なる同じ商品を区別しているということです。買った後では区別していなくても、買う時は区別しています。もし区別していないならば、複数の売り手から買ってもいいはずです。むしろ、潜在的な売り手の数を考え、同じ商品を区別しないならば、n個の商品をn人の売り手から買う方が自然です。

このように、私達は、取引相手が異なれば、同じ商品であっても区別しています。例外は、取引成立まで取引相手を知ることができない一部の取引所における取引くらいです。買い手(需要家)が売り手より少ない場合は、売り手が買い手を区別することになりますが、取引相手が異なるという点から見れば同じです。

取引相手が異なれば同じ商品であって区別するということは、同じ商品であっても異なる商品であるかのように扱うということです。従って、需要の数量の和や供給の数量の和を求めることができるとは言えません。単なる物理的数量としての数量の和は、求めることができます。しかし、経済においての扱いが異なるということは、単純に需要の数量の和や供給の数量の和を求めることができないということを示しています。