現実の市場は小さな独占市場の集合

現実の市場は小さな独占市場の集合と見なせます。『各々の買い手はある商品を単一の売り手からのみ買う』と見なせますから、単一の売り手とそれを相手とする小さな独占市場が集合したものと見なせます。

但し、各々の小さな独占市場の境界付近では、ある種の裁定取引が作用します。買い手は、価格が安いところで買い、一度に買う数量を増やすことで、取引全体の費用における価格の比率を高めようとします。裁定取引により、各々の売り手は、純粋な独占市場の売り手のようなプライスメーカー(価格設定者)ではなく、プライステイカー(価格受容者)的なものになります。

数量に関しては、各々の売り手に対応する買い手の要求する数量の和が、各々の売り手に対する要求となります。いわゆる右下がりの需要曲線が、各々の売り手に対して成り立ちます。

なお、ここでは、買い手が売り手より多い一般的な商品を想定しています。また、買い手や売り手という言葉を使うのは、流通業者等を意識したからです。