日本は水不足な国

食糧生産に使う水の観点から、水不足が語られている。

実のところ日本で食糧自給率を上げようとすると利水が課題になる。日本人は昔は水と安全が無料だと思っていたし、日本が水の豊かな国だと勘違いしているが、実のところ我が国が中東の砂漠国並みに仮想水貿易で輸入超過となっていることは、あまり知られていない。

仮想水貿易の輸入超過ってエビアンとかボルビックとかそういう話じゃなくて、輸入に頼る穀物や畜産物の生産にかかる膨大な水需要を積み上げると、という話ね。生活用水はそれほど増えていないし、工業用水の再利用による節約は非常に進んでいるが水利用の7割弱は農業用水なのだ。だから日本で食糧を増産しようとすると、水が足りなくなることは目に見えている。そもそも土地だって足りないし、人口減のご時世で労働力も覚束ない訳だが。

仮想水貿易を考えなくても、「日本はさほど水の豊富な国ではない」のだが……。「日本の年間平均降水量は世界の年間平均降水量の約2倍」だが、
1人あたりの水資源量は世界で82番目」と平凡なレベルにすぎない。それに対して、「1人あたりの水使用量は世界で4番目」である。
日本は、気象で言うところの降水量で見れば世界有数の降水量の多い国だが、国土の狭さと人口の多さとから1人当たりの水の量はさほど多くなく、1人あたりの水使用量は世界で4番目という、きわめて水不足に陥りやすい国である。