”アベノミクスで始まった「日本売り」 円安で喜んでいるのは今のうちだ”は間違いだらけ

個人攻撃をするつもりはないのですが、”アベノミクスで始まった「日本売り」 円安で喜んでいるのは今のうちだ”という間違いだらけの記事を見つけたので、先日のエントリに続いて取り上げます。

20年以上金融引き締めを続けていた日銀

以前のエントリで書いたように日銀はバブル崩壊後ほとんどの期間金融引き締めを続けてきました。現在の円安は、この引き締めによる円高の調整という面があります。

彼は15年前に「日銀はインフレ予想によってデフレを解決できる」という論文を書いたのだが、それは実現しなかった。日銀は量的緩和で世界最大級の通貨供給を行ったにもかかわらず、デフレが続いてきた。

1990年1月を100とした相対比較で、アメリカを下回り続けた事実からすると、とても「世界最大級の通貨供給」とは呼べません。

経常収支の赤字化はすぐには進まない

その原因は、日本の経常収支の悪化である。2012年11月の経常収支は2224億円と、史上2番目の赤字になった。これは原発の停止に伴う燃料輸入の増加などの一時的な要因もあるが、貿易赤字はすでに定着しており、所得収支(金利・配当など)を加えた経常収支が赤字基調になることもそう遠い将来ではない。

経常収支が黒字であるということは、対外純資産が増え続けているということです。対外純資産が増え続けているということは、
所得収支も基本的には増え続けることになります。所得収支が増え続けるかぎり、経常収支の赤字化もそうは進みません。

日銀という買い手がいるかぎり国債の暴落は無い

さらに今度の補正予算のようなバラマキ財政を続けていると、そのうち長期金利が上昇するだろう。そのとき日銀が国債を買うと、市場は「財政が危ない」と見て、かえって国債が暴落して金利が暴騰するおそれがある。これが国債バブルの崩壊である。

日銀が買うと、すなわち需要が増えると暴落が起きる。それは基本的な経済原則に反しています。円を発行するのは日銀ですから、日銀は理屈の上では全ての国債を買うことすら可能です。絶対的な買い手が存在する以上国債の暴落はありえません。国債が下落するのは、日銀がその下落を容認した場合です。インフレが昂進する恐れが高くて日銀が国債を買わないような場合を除き、国債の下落を考慮する必要はありません。