ISバランス論の摩訶不思議(8)

ISバランス・アプローチは、トートロジー

貯蓄と投資の差額で経常収支が決まるという、ISバランス・アプローチは、トートロジーです。所得と支出の差額で経常収支が決まるという、アブソープション・アプローチもトートロジーです。貯蓄と投資、所得と支出は独立ではありません。誰かが投資を増やせば誰かの貯蓄が増え、誰かが支出を増やせば誰かの所得が増えます。

              (S-I) = (G-T) + (EX-IM)                式(1)
投資(I)が増え、貯蓄(S)がそのままということは、相手が国外ということ、輸入したということ

誰かが投資を増やせば誰かの貯蓄が増えます。投資(I)が増え、貯蓄(S)がそのままということは、投資における購入相手が国外ということです。すなわち、輸入したということです。輸入が増えれば、(EX-IM)は当然減少します。

このように、貯蓄(S)と投資(I)は独立して値が決まるものではなく、貯蓄(S)と投資(I)が別々に増減するということは、輸入や輸出が増減するということを意味します。ISバランス・アプローチは、輸入や輸出が増減して、(EX-IM)が決まると言っているに過ぎません。