GDPのマイナスは、消費税増税の負の所得効果によるもの

マイナス成長は駆け込み需要の剥落が原因」とか、全く、的外れなことを言っている人がいます。駆け込み需要の剥落は、4〜6月期でほぼ終わっています。1997年の消費税増税の影響を正しく認識しなかったことが、今回の消費税増税という失敗の原因です。今回の消費税増税の影響を正しく認識しなければ、失敗は繰り返されるでしょう。

第1に、14年7〜9月期の実質GDPの対前年増加率は▲1.2%であって、4〜6月期の▲0.2%より悪化している。このことは、現在の景気の落ち込みは、消費税増税による短期的なものだけではないことを示唆している。

消費税増税による影響は、短期的なものも半永久的なものもあります。消費税増税によって、実質所得が低下する「(負の)所得効果」は、税率を元に戻さないかぎり続くと言えます。

第2に、需要各項目の中では、住宅が▲12.3%と、大きな減少となっている。この数字も、4〜6月期の数字▲2%より悪化している。後に見るように、住宅投資は12年頃から顕著に増加していた。これは消費税増税前の駆け込み需要(支出の前倒し)だったと考えられる。それが、剥落したのである。

駆け込み需要とは考えにくいです。「すなわち、住宅投資の場合には12年4〜6月期頃から、消費支出の場合には13年頃から、一時的に増えたが、ほぼ元に戻っている」と書かれている、その下の図を見ると、住宅投資は、2010年1〜3月期から、増えています。

景気の変動を考慮するなら、ほぼ順調に増えていると言って良いでしょう。消費税増税法案が成立したのは、2012年8月です。施行前に見直すという景気条項もありますし、法案成立前から駆け込み需要が発生していたとか、無理がありすぎる解釈です。住宅投資の増加は、景気回復等で説明できます。むしろ、住宅投資に駆け込み需要はほとんど無かったと見るべきでしょう。