経済の制約は需要にある

現実経済は供給能力過剰(需要不足)

液体経済では、経済成長の制約は供給側にあり、技術革新などで供給側を伸ばせば経済は成長します。

一方、固体経済ではいくら技術革新があっても、人々は将来の値下がりを予想し、貨幣を好みますので経済成長は限定的です。

戦争や災害で経済基盤が大きく破壊されたような場合を除いて、経済の制約はほとんどの場合、需要にあります。その証拠は店頭に並んでいる商品です。これらは、市場に供給されながら、まだ売れていない商品です。「売れ残り」です。ほとんど全ての種類の商品が売れ残っています。供給能力過剰(需要不足)だからです。

最終的な供給能力は最も供給能力の低い箇所で決まる

経済の制約がほとんどの場合需要にあるのに、経済の制約が供給にあるかのように見えるのは、最終的な供給能力が最も供給能力の低い箇所で決まるからです。東日本大震災において、マイコン工場の被災が世界の自動車工場の生産をスローダウンさせてしまったのは、その一例です。製品の供給能力は、その製品を構成する部品のうち、最も供給能力の低いもので決まります。供給能力に十分な余裕のある企業が99%、供給能力にほとんど余裕のない企業が1%だったとして、全体としての供給能力は1%の企業が決めることになります。

金融緩和が効くのは、供給能力にほとんど余裕のない企業が設備を増強するから

金融緩和が効くのは、わずかに存在する、供給能力にほとんど余裕のない企業が設備を増強するからです。供給能力にほとんど余裕のない機械を、増強するからです。固体経済(重不況)で金融緩和が効かなくなるのは、そのわずかな企業でさえも供給能力に余裕ができてしまうからです。