日銀が国債を大量に買っただけではハイパーインフレにはならない

日銀が国債を大量に買っただけではハイパーインフレにはなりません。

『日銀が国債を大量に買えば、ハイパーインフレになる』と主張する人々がいます。しかし、日銀の国債大量購入にもかかわらず、ここ四半世紀ほどデフレ気味です。最近、輸入食糧や円安の影響で多少コストプッシュインフレになったに過ぎません。

ハイパーインフレにならない理由は、国債を売って円を買った側が、安値で円を売ったりしようとしないからです。ずっと持ち続けているからです。買った側が保有している円の大部分は、預金通貨であり、単なる電子データに過ぎません。給料を例に挙げても、現金で受け取っている読者はほぼ皆無でしょう。お金の大部分は、預金通貨です。

預金通貨なので、お金が10倍になろうと、100倍になろうと、保有することの費用はほぼ一定です。期間に応じて増えるだけです。一般的な商品のように、保有する費用がほぼ数量と期間の積に比例するということはありません。いわゆる在庫処分はありません。錆びたり、腐敗したりすることもありませんから、半永久的に保有していることが可能です。

インフレやハイパーインフレが生じるのは、中央銀行が通貨で国債を買うからではなく、政府が国債を発行して、それにより商品を大量に買うからです。政府支出を大きく増やすからです。しかしながら、現状の日本政府は、不景気による税収不足をある程度補填しているに過ぎません。デマンドプルインフレを起こすにも不足気味です。