原油価格が高止まりする理由

原油価格が高止まりしている。個人的な見解を述べるなら、その主な理由は、原油の価格が高くなると産油量が減少する傾向があるからということになる。価格の上昇が産油量の減少を引き起こし、産油量の減少が需給の逼迫を引き起こし、需給の逼迫が価格の上昇を引き起こす。というループを構成するからということになる。

なぜ、原油価格が高くなると産油量が減少するのか。それは、原油の生産が本質的には資産の切り売りに他ならないからである。油田における原油の埋蔵量は有限であり、「油田の産油可能年数 = 油田の埋蔵量 ÷ 油田の年間産油量」とおけるから、年間産油量を増やして産油可能年数を減らすか、年間産油量を減らして産油可能年数を増やすかのトレードオフを石油会社や産油国は迫られる。原油価格の上昇は、年間産油量を減らしながら年間の売り上げを増やすことを可能にするから、年間産油量を減らして産油可能年数を増やす方向に進みやすい。

石油会社や産油国にとっては、自分たちの油田の原油が枯渇するか否かが問題なのであって、世界全体で原油が枯渇しなくても、自分たちの油田の原油が枯渇すれば意味はない。svnseedsさんのエントリではその辺りが区別できていないようである。自分たちの油田の原油の枯渇を遅らせるため、年間産油量を減らしたい。しかし、年間産油量を減らせば年間の原油の売り上げも減る。原油価格の上昇は、年間の原油の売り上げを減らさずに年間産油量を減らすことを可能にする。年間の原油の売り上げを減らさずに油田の原油の枯渇を遅らせることを可能にする。

原油価格の上昇は、新しい油田の開発を促進し産油量の増加を促す。しかし、油田の開発が産油量の増加となってあらわれるには時間がかかる。それに対して、年間産油量を減らして産油可能年数を増やすのはすぐ影響があらわれる。