管理者の認識と現場の技術者の認識との途方もない違い

ソフトウェア開発にかぎらず、管理者の認識と現場の技術者の認識とでは大きなずれがあることが珍しくない。
12月9日のエントリで紹介した「愚かな決定を回避する方法」という本において、スペースシャトル・チャレンジャーの爆発事故の事故調査報告書の付録の内容について言及されている。失敗の確率について、管理者の認識と現場の技術者の認識とで千倍もの違いがあったというものである。

この付録の中で教授は、機体損失を伴う宇宙ロケットの失敗の確率に関して、非常に大きな意見の相違があることに、唖然としています。

直感的に推定した失敗率は、1/100と1/100,000ほどの違いがあります。最大の失敗率(1/100)は現場技術者のもので、最小(1/100,000)は管理責任者のものです。この管理責任者の失敗率に関する思い込みは、狂気の沙汰とは言わないまでも、完全な間違いです。

1/100,000の失敗率というのは、スペースシャトルを毎日、300年間打ち上げても、失うのは1機だけ、という意味です。

これほど極端なケースは珍しいだろうが、管理者の認識と現場の技術者の認識とが桁違いなケースは珍しくない。
最大の問題は、認識が桁違いなことではない。最大の問題は、現場の技術者は認識が桁違いなことに薄々気づいているのに対して、ほとんどの管理者は認識が桁違いなことに気づいていないということである。技術者から管理者になるまでに忘れてしまう。あるいは、気づかない技術者ばかりが管理者になる傾向があるようである。